亡國の孤城 ~フェンネル・六年戦争~

「………そうですな。御本人は本人なりに忘れようと必死なのですが………まさか向こうからお出でになるとは………踏んだり蹴ったりですな」

「………どうするよ。あいつあの様子じゃあ面会どころか話すことも出来ねぇぜ?……………地下のお嬢さんは何て言ってる?」


「……………面会を申し入れております。まぁ別に……キーツ様でなくともよろしいかと………」

出来れば話がしたい、とのことだった。
ルアはずっと彼女の側から離れないでいるらしい。


「………面会…ね。何を話したいやら………何か企んでいそうで………どうもすんなりと受け入れられないね」

「…………ええ。………………ですが……」

アレクセイは溜め息を吐いた。何か思い悩む様な、怪訝な表情を浮かべていた。

「……何だ?何か気にかかる事でもあるのか?」


「………」
















真っ暗な地下牢はひんやりと冷たい。
最低限必要な物しか無い狭いこの中に、彼女は無言で自分から入って行った。

ルアは格子の外でおとなしくしていた。

『………では、私はこれで。……何かあれば兵士に申付け下さい』

『………すまないな。………………ルア、お前もここにいる必要は無いんだぞ』

< 661 / 1,150 >

この作品をシェア

pagetop