亡國の孤城 ~フェンネル・六年戦争~
―――ローアン、ほらこっち。星がよく見えるわよ。
―――あら、流れ星よ。……お願いしそびれちゃったわ…。
―――大丈夫ですわ、エルシアお姉様。流れる間に三回お願いをするだなんてこと、まず不可能ですわ。普通に教会で祈った方が確実ですわよ。
―――リネット……それじゃあ夢もかけらも無いじゃない。
―――私、流れ星にお願いするのは3歳で止めていますのよ。
―――………。………ローアンは何をお願いするの?…まだ小さいからねぇ。可愛いお願いでしょうね~。どんなお願い?
―――お姉様…願望の規模は年齢とは左右されませんのよ。幼子が「世界征服をしたい」と無邪気に言っているのが良い例ですわ。
『―――………お父様に……会いたい』
―――………。
―――………。
―――………そうね。お父様が亡くなられた時……ローアンはまだお腹の中だったからね。
―――………。
『…………お願いしても……無理なの?』
―――…………そう……ね。………直接会うのはもう無理ね。
―――………私も会いたいわ。