亡國の孤城 ~フェンネル・六年戦争~
「………………音沙汰無し………か………」
ゆっくりと首を傾げ、虚ろな目で天井を見上げた。
……つまらない。
クライブはそう思った。
「………はい。今のところ…第4部隊隊員の中に反逆を企む者はいないようです。………それどころか、逆におとなしくなったようにも思えます」
真っ暗な室内の奥から、感情の無いベルトークの声が響き渡る。
隊長であるトウェインが脱走すれば、その部下も続くのではないかと思われていたのだが。
………予想に反し、三人共何も無かったかの様にいる。以前と何ら変わらなかった。
強いて言えば………塔内に響いていた笑い声、走り回る物音の一切が無くなった…という事くらいか。
このところ、毎日が静かだ。
「……………特にあのフェーラの小娘は…………真っ先にトウェインを追いかけるかと思っていたのだがな…………………………こうなると…………不気味に思えてならん……………………」
「……念のため……監視は続行します」
そう言って退室しようとしたベルトークを、ふとクライブは呼び止めた。
「……………………あの小僧はどんな様子だ……………?」