亡國の孤城 ~フェンネル・六年戦争~
「クーデターから一年後位じゃなかったかな―?このメンバーが入隊したのって…順番でいえば―………最初がマリアで次があたし…んで、ダリルが最後よね」

イブはビシィっと読書中のダリルを指差す。ダリルは無視してページを捲った。

「あら?そうだったかしら。………ダリルはいつ入隊したっけ?」

「二人共記憶力無いね。…………三年前」

………三年前。

つい最近の様に思える。

「そっかぁ………ダリルも、トウェイン隊長に連れて来てもらったわよね―」

「………」


ダリルはまた無言で流した。

「…………無視ですかぁ―?…もー…昔と全然変わんないんだから…!」

ブーブー言いながらイブは回転速度を上げて再びゴロゴロし始めた。

「イブ、埃塗れよ。…それはそうと……ダリル……………………………………」

「何」



マリアはじっと首を傾げ、読書をするダリルを見つめる。





「……………………文字……………見えるの?」






「―――ほんとだ!?」

イブはガバッと起き上がった。

盲目のダリルが読書をしている。よく考えたらこれって不自然じゃないか!!文字見えてんのか!


「……読めてるよ。見えないけど」

「何それ!?」
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