亡國の孤城 ~フェンネル・六年戦争~
「……次だ。主要幹部の二人目…」

急に、具現化した男の姿がぐにゃりと形を変えたかと思うと、今度は別の姿を現した。


短い黒髪に、睨む様な目付きの紫の瞳。
先程の男とは打って変わって、ぐんと背が低くて……。
……………子供…?

「………No.3の実力を誇る………名は〈リスト=サベス〉………見ての通り、まだ13の子供だ。…しかし、子供ながらに優れた戦士だ。……油断をすると、足下をすくわれるぞ」

………ベルトークがそう言うのだ。…想像以上に強いに違いない。

……まだ13歳の兵士。……別段、驚く事ではない。こちらの部下にも同年代のダリルがいるのだから。

しかもそれ以上に年下のイブという兵士もいる。
………子供でも…容赦はしない。


「………そして最後……我々の最大の障害。…国家騎士団の最重要人物である、騎士団総団長………」



その姿が、露になった。




―――背の高い男。…青年と言ってもいいほど、まだ若々しい。
逞しい体つきに浅黒い肌。後で一つに結った茶色の長い髪。

……一番目をひいたのは、その左右色の違う瞳だ。

右目は灼熱の赤。左目は透き通る様な琥珀色。

………見て分かる。…並の人間とは比べ物にならない程の威厳と、器の大きさ。

………敵として、不足、無し。
< 72 / 1,150 >

この作品をシェア

pagetop