亡國の孤城 ~フェンネル・六年戦争~
揺れるポニーテールを指で弄り、イブは膨れっ面で言った。
まるで母親に駄々をこねている子供だ。

「………隠し事は、必ず持っていないといけないのよ。………生きている限り……」

その場でマリアも立ち上がり、イブの隣りに並んで夕日を眺めた。


















「―――………ねぇ。…………………あたし達、これからどうする?」


イブは並ぶマリアの手をそっと握り締め、手を繋いだままぶらぶらと振った。



夕日は沈む。





何も言わずに。







黙って、行ってしまう。







彼女の様に。










「………あたしは嫌だよ。…………隊長は…………ずっと隊長だもん」

「………そうね。………私達……隊長無しではやっていけないもの………隊長がいたから……生きてこれた様なものだもの」

「…………じゃあ………僕ら三人は…結局考えている事は一緒なんだろうね。…………変なの」

「…………いいんじゃない?…………第4部隊は………こんなので良いよ」



















行ってしまうけれど


見えなくなってしまうけれど







これは次の始まりだから













だから、寂しくなんかない。


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