亡國の孤城 ~フェンネル・六年戦争~
「………体調は如何ですかな?」

縛り終えたアレクセイはやんわりと言った。最近はこればかり訊いてくる。そんなにひ弱に見えるのだろうか。

「………万全だ」

「………そうですか。………お食事は…」

………これもよく訊いてくる。随分と世話焼きだな……。

「………要らん。空いていない」

「………………もしや……ベジタリアンか何かなのですか?」

「…………………は?」
























前に一歩踏み出す度に、ジャララ……と甲高い金属音が、一定のリズムで廊下に響き渡る。

片足に、重い鉛と繋がっている長い鎖が付けられていた。
拘束服に鎖、更に顔面の上半分を覆う目隠しまでされた。
周りからはカチャカチャと、鎧が揺れる音がする。

………厳重。…まぁ……当然か。



「………足下をお気をつけて…」

「構わん。………闇は慣れている」

目隠しをされているにも関わらず、少しもふらつくこと無く真直ぐ進む。

長い階段やら廊下をしばらく歩いた末、何処かの奥の部屋に連れて行かれた。


広い部屋の様だ。

自分の足音が妙に響いて聞こえる。

その中にぽつんと置かれた椅子。



トウェインはゆっくりと、腰掛けた。
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