亡國の孤城 ~フェンネル・六年戦争~


………誰も信じてくれないかもしれない。

………それが…怖い。




だから……。










敵のままで……良い。























「………あんたについては……結構謎だらけだ。………過去、ほとんど戦場に出ていなかったからな。戦闘値は取り敢えず………うちのリストよりちょい上?…んで総団長より下…」

「―――僕の方が下だって!?」

勢いよくリストは立ち上がり、ガターンと椅子が後ろに倒れた。

「聞き捨てならないな…!!どういう基準でそんなこと決めているんだ!おかしい!絶対おかしい!」

「…リスト君、少し静かにしたまえ。いくら図星だからってムキになるなよ?」

「図星じゃない!!第一僕は奴とまともに闘ってもいない!!勝手に決めるな屑が!!」

憤慨したリストは、腰の左右のベルトに下げた短剣を一瞬で抜き、クルクルと手元で回して構えた。

「………止めなよリスト」

「今更真顔で普通に止めるのか…!………撤回だ!前言撤回しろ!!」




…………見えない視界の中、前の方から、ぶつかりあう金属音やら罵倒やら公共物破損やら………とにかく激しい乱闘が繰り広げられている様な物音が聞こえてくる。

< 735 / 1,150 >

この作品をシェア

pagetop