亡國の孤城 ~フェンネル・六年戦争~
………あの男が動き始める。それはつまり、この戦争に終止符が打たれることを意味する。

「………今までとは…規模が違う。………本格的に、総隊長は城を手中に収めるべく、総力を上げてかかられる筈だ。………あの方は……恐ろしく強い…」

……魔術まで使えるのだ。戦闘値は計り知れない。

「………城をとると言っても…………あの通り、城は何らかの力で封印されている。………仮に貴様の大将があの封印を打破る程の力を持っていたならば…………今までにもそれは出来た筈だろう?…………何故…六年後の今なんだ?」

リストは訝しげな顔を向ける。
………確かに。何故今なのか。

「…………若年にしては鋭い問いだ、小僧」

「…………小……!?」

再び憤慨して立ち上がりかけたリストを、オーウェンは片手で押さえた。

「……………貴様らにとっては驚嘆すべき事だろう。…………………………………………その日……………」


………クライブの言っていた事が全て真実ならば……………その日………………私が…………16となる日……………。














「――――――城が目を覚ます。…………封印が解けるのだ」




















「―――何だって?」
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