亡國の孤城 ~フェンネル・六年戦争~
国家騎士団が拠点としているのは、あの孤城の側にある別の塔である。
城全体が閉ざされているという訳では無い。広大な土地を持つ城壁内には、王族の城、貴族の城、軍隊専用の塔がある。その中で、王族の城だけが閉ざされているのだ。
キーツ達国家騎士団は軍隊の塔を利用している。
シャンデリアがいくつも並ぶ豪華絢爛な廊下を渡り、意気揚々とオーウェンから先に軍議室の扉を開けた。
………笑顔のまま、オーウェンは頭を低くした。
―――ヒュン、と殺意の塊が頭上を掠めていった。
…と言うより、少しでも屈まなかったら額に確実に当たっていたであろう。
その真後ろにいたキーツは溜め息交じりに、殺意の正体である小さなナイフを指先で受け止めていた。
部屋の隅には、まだ若い、成人にも満たない少年が眉間に皺を寄せて立っていた。
城全体が閉ざされているという訳では無い。広大な土地を持つ城壁内には、王族の城、貴族の城、軍隊専用の塔がある。その中で、王族の城だけが閉ざされているのだ。
キーツ達国家騎士団は軍隊の塔を利用している。
シャンデリアがいくつも並ぶ豪華絢爛な廊下を渡り、意気揚々とオーウェンから先に軍議室の扉を開けた。
………笑顔のまま、オーウェンは頭を低くした。
―――ヒュン、と殺意の塊が頭上を掠めていった。
…と言うより、少しでも屈まなかったら額に確実に当たっていたであろう。
その真後ろにいたキーツは溜め息交じりに、殺意の正体である小さなナイフを指先で受け止めていた。
部屋の隅には、まだ若い、成人にも満たない少年が眉間に皺を寄せて立っていた。