亡國の孤城 ~フェンネル・六年戦争~
黒ずんだ小さな本棚は鍵付きの扉が付いていたものらしいが、扉は乱暴に外され、完全に壊れていた。
歪んだ隙間から、本棚の中が僅かに見える。ルアが細い隙間に鼻先を突っ込むと、外れかけていた扉が音を立てて落ちた。
「………ルア、あまりウロウロしないで下さい。………ああ……そこには大したものは入っていませんよ。六年前のクーデターの夜、貴重な古文書は殆ど持って行かれましたからね…」
特に貴重であったアカシック年代記も、今や敵の手に渡っている。
今本棚にひっそりと眠っているのは、薄い歴史書や羊皮紙の塊など。
よいしょ、とアレクセイは腰を上げ、本棚にずっと鼻を突っ込むルアに近寄った。
「………ほら……何も良い物は無いでしょう?……紙の束でも食べますか?………………………………おや…」
中にランプの明かりが差し込む。
長い間光という光を浴びていなかった暗がりに、本らしきシルエットが浮かびあがった。
気になって手を伸ばすと、それは厚い書物だった。
埃を被ったそれは、かなり古い物だった。どうやら歴史書の様だ。
「………古い。……最後の期日が約20年も前………」
染み付いたインクが変色し、所々破れている。何が書かれているのかよく分からない。
……パラパラと見ていると、王政の樹系図が書かれている部分があった。
頂点の王族から、多種多様の大臣、司法、軍部と、各政治の役が枝別れしていた。
中には、第1貴族から第5貴族までの家系図も記されていた。
歪んだ隙間から、本棚の中が僅かに見える。ルアが細い隙間に鼻先を突っ込むと、外れかけていた扉が音を立てて落ちた。
「………ルア、あまりウロウロしないで下さい。………ああ……そこには大したものは入っていませんよ。六年前のクーデターの夜、貴重な古文書は殆ど持って行かれましたからね…」
特に貴重であったアカシック年代記も、今や敵の手に渡っている。
今本棚にひっそりと眠っているのは、薄い歴史書や羊皮紙の塊など。
よいしょ、とアレクセイは腰を上げ、本棚にずっと鼻を突っ込むルアに近寄った。
「………ほら……何も良い物は無いでしょう?……紙の束でも食べますか?………………………………おや…」
中にランプの明かりが差し込む。
長い間光という光を浴びていなかった暗がりに、本らしきシルエットが浮かびあがった。
気になって手を伸ばすと、それは厚い書物だった。
埃を被ったそれは、かなり古い物だった。どうやら歴史書の様だ。
「………古い。……最後の期日が約20年も前………」
染み付いたインクが変色し、所々破れている。何が書かれているのかよく分からない。
……パラパラと見ていると、王政の樹系図が書かれている部分があった。
頂点の王族から、多種多様の大臣、司法、軍部と、各政治の役が枝別れしていた。
中には、第1貴族から第5貴族までの家系図も記されていた。