亡國の孤城 ~フェンネル・六年戦争~
ゲイン家とヴァンニ家の長い長い家系図も克明に書かれていた。
「……名高い貴族も、今や途絶えてしまわれて………歴史は、常に一瞬ですな…。……………………ん…………?」
アレクセイの目が、とある一点で止まった。
細かい五つの貴族の樹系図。
………しかしもう一つ、薄汚れて見えない樹系図がそれらと共に並んでいた。
樹系図の上から下まで、真っ黒なインクで汚している。
……中央部分が焼けて穴が空いているが……これは故意に燃やした跡だ。
一体誰がこんなことを……。
(………しかし………もう一つ、大貴族があったのか………?)
アレクセイの知る範囲では、大貴族は五つ。それ以外は聞いたこともない。
………焼かれた樹系図の一番下の辺りは、うっすらとまだ文字が生きていた。
ランプを近寄せ、弱った老眼で覗き込んだ。
………?
………………。
―――……“ユリアジェイラ”
「……………“ユリア”?」
「……名高い貴族も、今や途絶えてしまわれて………歴史は、常に一瞬ですな…。……………………ん…………?」
アレクセイの目が、とある一点で止まった。
細かい五つの貴族の樹系図。
………しかしもう一つ、薄汚れて見えない樹系図がそれらと共に並んでいた。
樹系図の上から下まで、真っ黒なインクで汚している。
……中央部分が焼けて穴が空いているが……これは故意に燃やした跡だ。
一体誰がこんなことを……。
(………しかし………もう一つ、大貴族があったのか………?)
アレクセイの知る範囲では、大貴族は五つ。それ以外は聞いたこともない。
………焼かれた樹系図の一番下の辺りは、うっすらとまだ文字が生きていた。
ランプを近寄せ、弱った老眼で覗き込んだ。
………?
………………。
―――……“ユリアジェイラ”
「……………“ユリア”?」