亡國の孤城 ~フェンネル・六年戦争~
―――闇夜に赤い火花が散った。
それは銀の光沢を一瞬照らし、消えてはすぐにまた熱を帯びて宙を舞う。
「―――…防げ!」
「――…うわっ…!?」
受け止めた途端、刃を擦り上げられ、そのまま前のめりになったところを、思い切り膝蹴りが飛んで来た。
間一髪のところで避け、慌てて後退した。
「………動きは良い。だが、躊躇いが無さ過ぎるのは駄目だ。やけになって刃を振り回しても、相手に届かんぞ」
「そんなの分かってる!………………………わ………………分かって、います」
悔しそうに怒鳴るリストだが、相手がこの国の頂点である人間ということを思い出し、ぎこちなく言い直した。ローアンは苦笑する。
「………良い。あまり気にするな。私もお前のことを幹部、ではなく、ただの熱血なガキとしか思っていない」
………リストが黒いオーラを放ち出したが、ローアンは知らん振りだ。
「動きはもっと速いだろう?本気を出しても構わな…………………ああ……あれはフェーラである時か」
「…………そうだよ。…………化け物の時さ……」
リストは両手の短剣を鞘に戻した。……機嫌の悪そうな彼の目が、ローアンを睨む。
「………フェーラの力で手合わせしても良いのだぞ。……この私でも、フェーラ相手はきつい…」
促す様に言ったが、リストは無言で首を横に振った。
………どうしても、人間として戦いたい様だ。
「………そんなに嫌か?……フェーラの血が……」
「………当たり前だ!!」
フェーラなどという野獣なんぞ……消えてしまえばいい。
「………人間なら人間で……化け物なら化け物として……はっきり分かれていれば…。…混血だなんて……!」
それは銀の光沢を一瞬照らし、消えてはすぐにまた熱を帯びて宙を舞う。
「―――…防げ!」
「――…うわっ…!?」
受け止めた途端、刃を擦り上げられ、そのまま前のめりになったところを、思い切り膝蹴りが飛んで来た。
間一髪のところで避け、慌てて後退した。
「………動きは良い。だが、躊躇いが無さ過ぎるのは駄目だ。やけになって刃を振り回しても、相手に届かんぞ」
「そんなの分かってる!………………………わ………………分かって、います」
悔しそうに怒鳴るリストだが、相手がこの国の頂点である人間ということを思い出し、ぎこちなく言い直した。ローアンは苦笑する。
「………良い。あまり気にするな。私もお前のことを幹部、ではなく、ただの熱血なガキとしか思っていない」
………リストが黒いオーラを放ち出したが、ローアンは知らん振りだ。
「動きはもっと速いだろう?本気を出しても構わな…………………ああ……あれはフェーラである時か」
「…………そうだよ。…………化け物の時さ……」
リストは両手の短剣を鞘に戻した。……機嫌の悪そうな彼の目が、ローアンを睨む。
「………フェーラの力で手合わせしても良いのだぞ。……この私でも、フェーラ相手はきつい…」
促す様に言ったが、リストは無言で首を横に振った。
………どうしても、人間として戦いたい様だ。
「………そんなに嫌か?……フェーラの血が……」
「………当たり前だ!!」
フェーラなどという野獣なんぞ……消えてしまえばいい。
「………人間なら人間で……化け物なら化け物として……はっきり分かれていれば…。…混血だなんて……!」