亡國の孤城 ~フェンネル・六年戦争~

白い身体を這う手は、徐々に早く、荒々しくなっていく。








柔らかな肢体。
真っ白な肌。
鼻をくすぐる、花よりも甘い香り。
指に絡んでは解けていく、黄金色の長い髪。赤く湿った唇。
聞いたことの無い、理性を揺るがす艶やかな声。

………真直ぐに自分を見詰めてくれる、涙で潤んだ青い瞳。









……自分は、どうしようも無い程……。




……………彼女が好きだ。



好きで、好きで、仕方無くて………。












………………ただがむしゃらに、夢中で、彼女を抱いた。


声が聞きたくて、触りたくて、酔い痴れてほしくて、もっと悶えてほしくて。


好きだと、伝えたくて。









………だんだんと、身体が熱く………苦しくなってきた。



本能が、彼女を欲していた。



まるで獣の様に息が荒い。……熱い。



彼女の一番敏感な所を見た途端、その熱は増した。
















この涙は何なのだろうか。




悲しい訳でも、何でもないのに。

止めど無く、流れ落ちる。







無機質な涙を、キーツは掬ってくれた。




















「…………っ…あ…あっ……あっ…あっ…あっ…あっ……あ…あ…………はぁっ……!…………やぁっ……あっ……あっ……あ……」

………世界が揺れる。

快感の波は、次々と押し寄せて来る。






「…………はぁっ……………ローアン……………ロー………アン………あっ…………あ…あ…………」


















過ぎ去ってしまったけれど、無くしてしまったけれど。



………空白の長い長い六年間を、今この一時でも良いから………埋めてしまおう。
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