亡國の孤城 ~フェンネル・六年戦争~
4.白と黒の狂想曲
―――あの真っ白な城にはどうして近付いてはいけないの?
―――…行きたいのか?
―――……ううん。行きたい訳じゃないけど…行きたくない訳でもない…
―――お前は曖昧だな
―――…曖昧って、いけないかな?
―――…いいや。……私によく似ている
―――…私のお父さんとお母さん…死んだ後、真っ黒な影になっちゃったのかな?
―――…その前に、戦火で焼けたかもな
―――…そう。……その方が良いな
―――………。
―――トウェイン……私と来るからには………強くならなければならない。………生半可な覚悟は、後悔しか生まない。
―――……うん。
……大丈夫よ。私、ちゃんと付いて行くから………貴方は…振り返る必要は無いわ。私は、後にいるから。
立ち止まらないから。