亡國の孤城 ~フェンネル・六年戦争~
「立ち止まるな。良いな…?」
襲撃前夜。
トウェインは部下を集め、最後の軍議を開いていた。
生死を分けた襲撃の、真面目な話の筈なのに、心なしか、イブの顔は綻んでいる。
「―――イブ……何が楽しい?」
「…えー?だって……初めてのまともな戦だよー?戦っ場ー!」
「………そのテンションはどうかと…」
ダリルが静かに呟いた。御もっともである。
マリアはマリアで緊張感など皆無なのか、相変わらずの微笑を浮かべている。
「まあ……何年も閉じ込められていた様なものだから、ちょっと興奮気味なのよ」
……その気持ちはよく分かるが…
「独りではしゃぎ過ぎるのは勝手だが、落命せんようにな」
「………隊長…もっと茶目っ気のあること言って下さいよ~……落命って…………重っ…」
「……説明を続ける」