亡國の孤城 ~フェンネル・六年戦争~

「我ら第4部隊は、合図と同時に第1、第2部隊に続く。その間“闇溶け”で姿は現さない様に。第1から第3部隊までが応戦している場を通り抜け、そのまま城壁をすり抜けて待機だ」

「……質問。………敵も馬鹿じゃないから、“闇溶け”対策をしてくる筈。もし“闇溶け”が困難な状況に陥った時はどういう対処を?」

ダリルが挙手をしてきた。その隣りでイブは首を傾げる。

「………えー…だって戦場は夜でしょ?……困難ってどういう状況よ…」

「そりゃあ、いろいろ。敵兵全員がランプぶら下げてたらどうするのさ。濃い闇が消えて薄い闇しか無いから、どうかすると姿を隠し切れないよ」

そっか…と納得するイブ。

「………その点については支障はない。突撃の際、ライマンを一斉に放つ。……ライマンは濃い闇の分身を作る。本来は敵を混乱させるための能力だが…これを利用する。」

「…その分身の中に入るのね………ライマンの分身はなかなか消えないし、濃い闇で出来てるから………敵兵を混乱させるし、乗じてそのまま城に近付けるって事ね。………わあ……便利だわ…」

マリアは独り、嬉しそうに手を合わせて感動していた。

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