亡國の孤城 ~フェンネル・六年戦争~
「一応、念には念を入れて第3部隊が援護をしてくれる。とにかく、我々の役目は何が何でも城壁内に侵入する事だ………さっきも言ったが………立ち止まるな…」

「―――御~意!」

「………御意」

イブとダリルが返事をした。マリアだけが、小首を傾げて小さく挙手している。

「………何だマリア」

「えーっと…」とにこにこしながらマリアは口を開く。

「………私…“解放”は使って良いのかしら?」

……それを聞いた三人は、急に黙りこくった。



トウェインはマリアの右足に目を移す。

常時マントを羽織っているマリア。右足どころか全身が覆われて見えない。

………しかし、三人には“解放”というものが何なのか、よく分かっていた。

………他部隊の人間がマリアを化け物呼ばわりする理由は、その隠された右足にある。

「………総隊長からの言伝で……“解放”の許可は得ている…」

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