僕のお母さん
「椿くん、入って。」
僕は、先生がそう言うと、ゆっくりとドアを開けた。中に入るとみんなの目が注目しているのがわかる。僕は、これが一番怖かったんだよな……
「椿くん。自己紹介をして。」
あくまで、あくまで、冷静なフリ。だって、動揺なんかしたら恥ずかしいし……それに、印象を悪くしたくない。
「はじめまして。佐藤椿です。どうぞ、よろしく。」
よし!上手く言えた。これ以上は何も言いたくない。正直、もう緊張で倒れそうなくらいだ。
「……じゃあ、椿くんは、一番後ろの席に座ってね。」
僕が、机と机の間をすり抜けて、後ろへ行く。その間、やっぱりみんなの目線が、突き刺さる。僕は、ただ後ろに行きたいだけなのにな……
僕は、昼休みや、十分間休みの時、ずっとみんなから質問攻めにあっていた。でも、僕は、最低限のことしか返せなかった。だって、自分でもわかってるけど……本当に口下手なんだもんな。無口って言われても、何も言えないよ……
僕は、放課後、一緒に帰ろうとか言われたけど、断った。あんな、質問攻めに帰りにもあっていたら、本当に泣きたくなりそうになる。
早く、ルミさん帰って来ないかなと、僕は、自分の部屋で待っていた。