その腕で抱きしめて
「誠哉、彩名ちゃん携帯取りに来たけど」
って祐也が言い俺は飛び起きた。
「ん。渡して」
俺は彩名ちゃんの携帯を取って
祐也に渡そうとするけど
「やーだね、自分で渡せ」
って言われて…
「無理無理。お願い」
て、祐也に頼むけど
何かと彩名ちゃんとくっつけようとする
祐也は全く頼みを聞いてくれない。
「行ってこい」
って祐也に背中を叩かれ
俺は玄関にしぶしぶ向かう。
何を話したらいいかも分かんない。
どんな顔で会えばいいのか…
考える暇もなく玄関には
彩名ちゃんの後ろ姿。
「あ、はい。携帯」
俺は恐る恐る話しかけると
彩名ちゃんはこっちを向く。
そして
「ありがとうございます」
って言ってぺこりと頭を下げると
玄関を出て行った。
だけど、気がついたら俺は
「ちょ、待って」
って 呼び止めていた。