その腕で抱きしめて






「知らなかったんだ?」


って凛子ちゃんに言われて
胸がギューッと締め付けられる。



「ちょ、凛子やめなよ」


お姉さんは止めるけど
「あたし、百合さん好きだったなぁ」


って凛子ちゃんは寂しそうな顔をする。



あたしは自分が惨めになり
「よ、用事あるんで…帰ります」


あたしは少し笑って家を出る。






家までトボトボ歩いて帰り
結局ベッドにダイブ!



宿泊研修の大荷物は
誠哉ん家に置きっぱなし…




あたしは凛子ちゃんの言葉が
頭から離れないし…

その上、誠哉の元カノが気になる。


だって、料理できて可愛いくて
頭よくて なんていわれたら
どんな人だったのか…




あたしは考え込んでると


「彩名〜、客来てんぞ」


ってリビングから弟に叫ばれ
しぶしぶ玄関に行く。



ガチャ


「……あ」


そこには眠そうな顔に
ボサボサ頭の誠哉が立ってた。




「用事って?何の用事?」


って誠哉はにっこり。


だけど、あたしはにっこりなんて
できるわけない。



「……………ちょっ」


黙り込んでると手を引っ張られ


車まで連れてかれて
後部座席に乗せられた。



あたしは、
「何?」
って目線を合わせずに言うと

「こっちが何って言いたい」


誠哉はあたしを真っ直ぐ見る。





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