その腕で抱きしめて
*誠哉side
あんまり出かけるのは
好きじゃない。
だから、いつもなら俺ん家で
まったり過ごすけど
まだ母さんたちいるし…
映画でも見る予定。
車を出して彩名ん家へ。
―――――ピーンポーン
チャイムを鳴らすと弟が出てきた。
「彩名いる?」
「あぁ、はい。どうぞ」
彩名の弟は
彩名の部屋を指差す。
背高くていかつくて
だけど、笑顔は普通に可愛い。
俺はノックもせず彩名の部屋に
入る。
「だから、ノックしてよー」
彩名はクローゼットを閉めて
かばんを手に持つ。
彩名の部屋は久しぶりだけど
いつも汚い。
洗濯物は普通に散らかってて…
だけど、甘いいい匂いがする。
俺は彩名のベッドに飛び込み
布団をかけると
「早く行こーっ」
って彩名は微笑む。