♥恋と事件簿♥
吸い殻を灰皿へと捨て、斗志樹の隣へと戻る。

新しいビールを開けながら、唐揚げを食べてると携帯 震えた。



「はい、難波」



電話は署から。

旧姓で仕事をしてるが、もう慣れた。

どちらかと言えば、黒田姓の方に苦戦してる。



『愛依ちゃん、来たよ;;』



「来た?」



『だから!誠君から!』



--プーップーッ

七星からの電話は、くだらなくて切った。

最近、誠君が面会に来てもタイミングが合わず、それに気分を害したのかまたイタズラ電話が始まった。

これで何回目だろうか。

叱っても効果はない子。

私たちは、ただ電話を切るしか出来ないで居た。



「どうした」



「誠君」



「またか」



私の浮かない顔に気付いた斗志樹。

頭を撫でられ、斗志樹の肩に凭れながら溜め息を吐いた。

親がしっかりとしてたら、あの子はこんな事をせずに、本当に素直なままに育っただろう。

けど、今回はコンビニなどにはイタズラ電話をしてない。

私たちだけに留まってるだけ、成長したと言って良いのかも知れない。



「プレゼント降ろして来る」 



「あぁ」



いつまでも考えてては仕方ないと、私は新しい愛車にプレゼントとお泊まりセットを取りに行く。

今月の頭に悠呀の車が寿命を迎えてしまい 、父親のクルザーを貰った。

退職してから母親の送り迎えをしてるらしく、昼間も車に困らないからと。
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