♥恋と事件簿♥
最初は何か企みがありそうだったし、廃車するのにも抵抗はあったけど、人の妻としては、いつまでも昔の男に縛られてはいけないと、母親に説得された。

指輪だけでケジメをつけたつもりになってた。

けど、今でこそ本当に心の底から斗志樹と向き合えてるし、良かったと思ってる。

悠呀が生きてた事。

好きだった事。

全て、ちゃんと私たちは覚えてるから。

心の中にずっとあるから大丈夫。



「……ん?」



視線を感じて、2人分の着替えが入った紙袋とプレゼントを持ちながら、通りの角を見る。

しかし、街灯がなく真っ暗だけど、人影は特にないようだ。

気のせいだったらしく、私は車をロックして家に戻る。

だいぶ出来上がって来た斗真を尻目に、斗志樹にプレゼントを託す。



「お義母さん、お誕生日おめでとうございます」



「ありがとう斗志樹君、愛依」



斗志樹から渡されたプレゼントを、ニコニコと受け取った母親。

プレゼントは、仕事にも使えるLOUIS VUITTONの大容量のトートバック。

よく持ち歩いてるA4のファイルだって本だって余裕で入る大きさ。

今使ってるノーブランドのトートバックは古くなってるし、携帯や財布は別のバックで持ち歩いてたし、これで少しは楽になるかな?



「高かったんじゃない?」



「あー……、大丈夫。2人とも働いてるし」



…アウトレットですから;;
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