♥恋と事件簿♥
それなのに近場で済ませるなんて嫌。

そりゃあウェディングドレスは着たいし、写真も撮りたいとか思うけど、やっぱり諦められない。



「兄貴が甘いんだな」



「結婚式の主役は女だろ。好きなようにさせてやれば良い」



「……放任」



「違うだろ」



…どっちでも良い、そこは。

お茶を飲み、ソファーの上で胡座をかく。

俯き、目を閉じて少し早いお昼寝タイム。

こんな日は、自由気儘に行こう。

あぁ、寝そう……。

もうすぐで落ちそう。



「愛依さん……っ!」



なのに、睡眠妨害された。

顔を上げれば、頬を赤く染めた誠君が、こちらへと走って来てた。



「お久しぶりです!電話が通じないし、最近会えてなかったので直接ご挨拶にやって来ました!明けましておめでとうございますっ!!」



「誠……君?;;」



「は、はい!!;;」



今日がお正月だからか。

顔も声も誠君で違いないのに、格好がオタクではなかった。

いや、コートの下はチェックのシャツかも知れない。

ズボンにインしちゃってるかも知れないけど、どこか違う。



「これ……!僕と彼女からのプレゼントです!!」



「彼女?」



「はい!僕は目覚めました!2次元にも、あんな可愛い子が居るんだと!」



誠君が振り返った先には、物陰からコソコソとこちらを覗く女の子。

赤いコートを着て、ツインテールの控え目な女の子。

可愛いちゃ可愛いだろう。
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