♥恋と事件簿♥
車内でも落ち着かず、実家に着くなりリビングに入ってカーテンを締める。

斗志樹が両親に話をする中、私はソファーへと倒れ込む。



「やっぱりお前狙いやったか」



「……重い;;」



父親が私の背中に腰を下ろし、重さにもがく。



「斗志樹君ごめんね。こんな子と結婚したばかりに」



「私は悪くないでしょ;;」



父親が退いた為、起き上がってお茶を淹れて貰う。

28にもなって誕生日を実家で祝って貰うとは、何とも恥ずかしいけど、2人でレストランとかで祝う気分ではない。



「着替え、適当で良いか?」



「うん……」



「じゃあ、行こうか」



明日の出勤を考えて、戻りは自分の車で戻って来るらしい斗志樹。

母親は私の鞄から車のキーを出し、斗志樹を連れて出て行く。

何故、自分の車で行かないのか。

元は父親の車であった為、綺麗かどうか抜き打ちでチェックするつもりか。



「呑むか」



「まだ15時なんだけど」



「まぁえぇやろ」



冷蔵庫から、ビールを二缶持って来た父親。

私は誘惑に負けてビールを受け取る。

煙草を吸いながら、つまみを求めると呼び鈴が鳴った。

仕方なく、自分でキッチンを漁りに行くと、昨夜の残りか牛肉のしぐれ煮を発見。



「ねぇ、これで……どうしたの」



「これが落ちとったんや」



戻って来た父親は、茶封筒を手にしてるが、宛名がないのか裏と表を交互に見てる。

私は訊くのを止めて、父親と自身の箸を引き出しから出して、しぐれ煮が入ったタッパーと一緒に運ぶ。
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