♥恋と事件簿♥
第三部 ④~暴走~
「……騒がしくない?」
翌日、珍しくイタズラ電話が午前中に1件だけと落ち着いて居て、ホッとしながら午後の業務に取り掛かってると、何やらどこか騒がしい。
「確かに、そうですね?」
臼杵と廊下に出ると、生活安全課の奥にあるエレベーター前で揉み合いが起きてる。
無断で誰かが侵入しようとしたのか、案内課などの人間が誰かを必死に止めてる。
「またうちに逆恨みですかね?」
「かもね」
半年に1回は見られる光景で、驚きもなければ助ける気もない。
被疑者の家族が逆恨みして怒鳴り込む。
しっかりと証拠があって捕まえてるのに、信じたくない気持ちがそうさせるんだろうと黙ってるけど、言葉を無くした人はみんなこう言う。
“税金泥棒”と――…。
初めて言われた時は私もムッとして言い返したりしたけど、今は返す怒りはない。
ボーッと眺めてると、取り囲まれた人と目が合った。
「っ――…!!?」
「難波さーん!!」
私を呼ぶ小宮さん。
薄気味悪く笑いながら手を振ってる。
「副署長から、小宮刑事に立ち入り禁止命令が出されてます!相手にされない方がよろしいかと」
案内課の1人の人が、私に駆け寄って来た。
昨日の今日でそんな命令を降してるなんて……。
けど、何故に彼女が止められてたのかは納得。