♥恋と事件簿♥
第四部 ①~運命~
季節の移ろいは早く、斗志樹が木ノ島に来てから1年。
出会った春が、また訪れた。
平穏の日々は、意外に早いものだった。
実家のリフォームが速やかに行われ、昨日から2世帯同居が始まった。
玄関は一つしかなくとも、2階は私たちの住居となった。
4DKで、子供が出来ても問題なしの広さ。
1階にはちゃんと客室がある為、斗真たち家族が来ても問題なし。
ただ、問題があるとするならば……斗志樹が居ない。
実家は1階で、2階には寝に上がった位で寂しくないけど、1ヶ月も出張。
木ノ島の次に行く筈だった署の係の人に泣きつかれたらしく、結局は行くなんてあり得ない!
「拗ねててもしょうがないでしょ?居ないものは居ないのよ」
「良いよねー。祖母ちゃんは曾祖父ちゃんの力で遠距離を数年で終わらせて、お父さんとお母さんは離れた事ないんだもん」
「何だって?だいたい、1ヶ月で泣き言言うなんて情けない!食べてさっさと行きなさいよ!」
「……言われなくても。私は、主任ですから」
朝からごちゃごちゃ言い合う私と母親。
呆れてる父親の分の食器と2人分を片付け、鞄を手に家を出る。
斗志樹が車を乗って行ってる為、父親の車で出勤。