♥恋と事件簿♥
「すみません……っ」
「刑事課に、何か?」
磯村さんと七星を交互に盗み見てると、連絡なしの刑事課への50代後半女性の来客。
ただ、怒鳴り込みなどではなさそうな為、臼杵は笑顔で対応しに行く。
胸元に抱えたA4サイズほどの紙袋。
柄などはない、100円ショップでも買えそうなクラフト袋。
一見、何でもなさそうなのに、どうにも気掛かりで、私は資料を置いて立ち上がり、臼杵と女性を見つめる。
「どうも……お仕事中にすみません」
顔を上げた斗真たちに頭を下げながら、私に近付いて来た女性。
母親とそんなに年の差は変わらないだろうが、赤いピンヒールがかなり目立つ。
顔立ちは別に悪くはないのに、格好と合わない。
襟元が崩れたセーターに、麻の緩めのパンツ。
服は普通なのに、靴が浮いて、慣れないのか膝が震えてる。
「……黒田、愛依さんですか?」
「はい。そうですが?」
「私の事、御存知ないですか?」
「えぇ。申し訳ないですが」
事件関係者って、意外に覚えてるものだけど、どうにもこの人の事がわからない。
初対面の筈なのに、仕事では旧姓なのに、どうしてこの人が黒田という姓まで知ってるのかもわからない。
「刑事課に、何か?」
磯村さんと七星を交互に盗み見てると、連絡なしの刑事課への50代後半女性の来客。
ただ、怒鳴り込みなどではなさそうな為、臼杵は笑顔で対応しに行く。
胸元に抱えたA4サイズほどの紙袋。
柄などはない、100円ショップでも買えそうなクラフト袋。
一見、何でもなさそうなのに、どうにも気掛かりで、私は資料を置いて立ち上がり、臼杵と女性を見つめる。
「どうも……お仕事中にすみません」
顔を上げた斗真たちに頭を下げながら、私に近付いて来た女性。
母親とそんなに年の差は変わらないだろうが、赤いピンヒールがかなり目立つ。
顔立ちは別に悪くはないのに、格好と合わない。
襟元が崩れたセーターに、麻の緩めのパンツ。
服は普通なのに、靴が浮いて、慣れないのか膝が震えてる。
「……黒田、愛依さんですか?」
「はい。そうですが?」
「私の事、御存知ないですか?」
「えぇ。申し訳ないですが」
事件関係者って、意外に覚えてるものだけど、どうにもこの人の事がわからない。
初対面の筈なのに、仕事では旧姓なのに、どうしてこの人が黒田という姓まで知ってるのかもわからない。