♥恋と事件簿♥
「何で芽依実と那維斗が!弟の斗真と、旦那である斗志樹が泣かず、普段通りに居るかわからないのか!!」



「俺が……行けなかったんだ。愛依ちゃんは、伏せるように言ってた。けど、自分じゃないと、注意力が足りなかったから……」



「そうじゃねぇだろっ!!愛依を信じてるからだろーがッ!!」



「俺だって、別に……」



「――だったら、その面はなんだよ」



「……兄貴」



「愛依が死ぬんじゃないか。自分のせいで死ぬんじゃないか考えてるからだろ」



「…………、」



「お前、家族だろ。俺と違って、少しは血ぃ繋がってるだろーが……」



「斗志樹君……っ」



「お前の頭ん中で、人の嫁を死なせようとすんなよ。生きさせて謝れよ……」



「……っ……」



「絶対……、何が何でも、愛依を悠呀に渡してたまるかよ……っ」



「「「『…………』」」」



本当は、俺だけでなく、兄貴も泣かなかったわけでなく、堪えてた。

必死に、堪えてたんだろう。

姉貴が死ぬ筈はないと。

そして、生きようとしてるのに、泣いてはならないと。
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