♥恋と事件簿♥
第一部 ③〜変化〜
早いもので、5月になった。
まぁ、変わった事はあまりない。
インナーがタンクトップに変わって。
七星を独り立ちさせ、私と斗真はペアを入れ替えた事で私の基本的な相方は課長となり、衝突が増えた。
「姉貴。木ノ島高校で立て籠り発生」
「了解、急行するわよ」
「「「『はい――ッ!!』」」」
私は車のキーを七星に投げ、課長室のドアを開けた。
「高校で立て籠り。同行願いします」
「わかった」
課長と駐車場へと行き、斗真と3人で、七星が表に回して来た車に乗り込む。
無線から流れる情報を、手にボールペンでメモをする。
「四方を封鎖させろ。詳しくは難波に任せる」
「わかりました」
現場と無線で連絡を取り合う斗真を見ると、成長を実感する。
昔は私の後ろを追い掛けて来てたのに。
「磯村に病院との交渉させろ。山下は主任から離れるな」
「……何で私が七星を見とかないといけないんですか」
「その逆だと気付け」
「はっ?」
この人、何を言ってるんだろうか。
私が七星に見張られる?
「冗談じゃないですよ!!」
「――逆らったら、覚えとけよ」
「…………」
低い声で脅して来るなんて、最低……。
私は課長を数秒間だけ睨み、窓の外に目を向けた。