♥恋と事件簿♥
「あのさ、ちょっと良い?」
「ヤダ。その顔、ロクな話じゃなさそう」
「あんたにとっては、良い話かもよ?」
「――ねぇよ。姉貴と兄貴が、ここから居なくなるかも知れねぇ話なんて」
「……斗真?」
「俺、まだ覚悟してねぇんだ。昇進なんて」
「…………。斗真!」
もしかしたら、斗真にはもう、昇進の話が来てるのだろうか。
スタスタと、私の呼び止めに振り返らず、どこかへ歩いて行く背中は、何とも寂しげ。
私よりも、思い詰めてる。
課に戻れば、課長室で何やら七星が怒られ、磯村さんは上の空。
一体、ここはどうなって居るのか。
こんな筈ではなかった。
大きな、例えば警視総監などと言う夢を語る者は居なかった。
でも、前を向いて、一致団結してた木ノ島警察署の刑事課は、どこへ行ってしまったのか。
七星と斗真が戻ったのを確認し、私は徐に立ち上がり、デスク後ろにある棚から、重い昔の資料が挟まったファイルの1冊を取り出して、ダン…ッと机に叩き付けた。
「ボーッとしてんなやッ!そんな暇、私たちにはないやろが!!」
「「「『…………』」」」
私だって悩んでるよ。
考えてしまう。
でも、みんなには楽しそうにここで働いてて欲しい。
「ヤダ。その顔、ロクな話じゃなさそう」
「あんたにとっては、良い話かもよ?」
「――ねぇよ。姉貴と兄貴が、ここから居なくなるかも知れねぇ話なんて」
「……斗真?」
「俺、まだ覚悟してねぇんだ。昇進なんて」
「…………。斗真!」
もしかしたら、斗真にはもう、昇進の話が来てるのだろうか。
スタスタと、私の呼び止めに振り返らず、どこかへ歩いて行く背中は、何とも寂しげ。
私よりも、思い詰めてる。
課に戻れば、課長室で何やら七星が怒られ、磯村さんは上の空。
一体、ここはどうなって居るのか。
こんな筈ではなかった。
大きな、例えば警視総監などと言う夢を語る者は居なかった。
でも、前を向いて、一致団結してた木ノ島警察署の刑事課は、どこへ行ってしまったのか。
七星と斗真が戻ったのを確認し、私は徐に立ち上がり、デスク後ろにある棚から、重い昔の資料が挟まったファイルの1冊を取り出して、ダン…ッと机に叩き付けた。
「ボーッとしてんなやッ!そんな暇、私たちにはないやろが!!」
「「「『…………』」」」
私だって悩んでるよ。
考えてしまう。
でも、みんなには楽しそうにここで働いてて欲しい。