♥恋と事件簿♥
第五部 ③~誘拐~
「後もう少しで、斗真君とお別れか」
「またすぐ会えますよ。あの人、呼び付けそうじゃないですか」
「確かに!」
「――黙って、仕事しなさいよ!;;」
数日後の朝。
相変わらずの、異動のネタを話す斗真と臼杵。
そろそろ、私も耳にタコ。
例え父親に言われたからとしても、引き受けたのは自分の判断。
それに本庁の課長を、私がいくら同じ刑事課長としても簡単に呼ぶと思ってるのか。
私が斗真に従う事になるに決まってる。
「今日は平和だね」
「確かに。けど、こういう日って、危ないニオイがしますよね」
私の注意に、あからさまな感じで話を変える2人に、もう溜め息しかない。
異動ネタを取り上げたら、その話しかないのか。
あまり良い話じゃない。
午前中は出動などなく、確かに静かで平和であったけど、斗真の一言が余分だった。
「合同の課長会議行って来る。後は任せた」
「はい。いってらっしゃい」
今日はいくつかの警察署の課長が集まっての会議があり、斗志樹は会議後に直帰。
滅多になく、私の頭を撫でて行く為、心拍数が上昇。
みんなの前で、恥ずかしかったせい?