♥恋と事件簿♥
何とか終電で戻れるかな。

自分で言い出したけど、今になって後悔。

眠気が確実に押し寄せて来てる。

頷いた課長と共に財布を開き、カンパ分を含めて1万円渡そうとすると、私の手を止めてテーブルに数枚のお札を並べる課長。



「足りなかったら、明日にでも請求しろ」



「「「『ごちそうさまでーす!!』」」」



…さすがお金持ち。

やる事が凄い。

「お先に」と告げ、駐車場に向かう。



「あんな気前の良い事して良いんですか?あの人たちは、また甘えますよ」



「……そうだな」



課長は何故か空を見上げて呟いた。

課長のマンションまでは、友達が住んでるアパートの近くでもある為、スムーズに着いた。

下で別れるつもりが、コーヒーを淹れて貰える事になり、私は部屋までお邪魔した。



「適当に座ってろ」



「はい」



広い部屋なのに、殺風景な部屋。

黒の革張りのソファーに座ると、ポコポコと音がして、コーヒーの薫りが起つ。

キッチンでは、課長がコーヒーメーカーを見下ろし、少し暗い表情をして居る。



「どうかしました?」



リビングに戻って来た課長に問うと、何事もなかったように顔を振る。

マグカップを手にして私は隣に座る課長をチラチラと見ながらも、受け取ったコーヒーを飲んだ。
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