♥恋と事件簿♥
「大丈夫か」



「あ、はい。何の前兆もなく、“オエッ”と」



「お前ら姉弟は、言葉を選べ」



…へ??

私、斗真よりマシな言葉使いだと思ってるけど。

“オエッ”が、ダメなの?

私は意味がわからないまま、「すいません」と適当に謝り、仕事をする為に立ち上がった。



「今日は帰れ」



「はい?」



「自宅で安静にしとけ。わかったな?」



…わかるわけないでしょ!

何を急に言い出すの?

まぁ、それは私もか。

課長が怪我した時、散々、指示したし。

これは仕返しに近い、優しさかも知れない。

だが、もう吐き気もなく元気なのに早退。

安静って、妊婦でもないのに。

まるで、今の課長は妊娠してる奥さんを大切にしてる旦那さんだ。



「……はぁ?;;」



じゃあ、私がその奥さん??;;

自分でそう考えておきながら、思わず自分に呆れてしまった。

…アホだ。

今日の私、おかしい。



「……帰ろ」



睡眠不足なせいかも知れないし、何も考えず、寝よう。

それが、一番良いかも知れない。

実家に帰って、親に甘えて過ごそう。

私は軽々とした元気いっぱいの身体で車へと乗り込むなり、実家を目指した。

夕方まで、誰も帰って来ないだろうけど。

美味しいご飯。

温かな両親。

それで、元気になる。




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