♥恋と事件簿♥
第一部 ⑤〜幸せ〜
「あー…もう゛っ!!」
こんな時、赤信号ばかりでイライラしてしまう。
Bluetoothに繋げ、課長に電話をしようにもドライブモードになってて繋がらない。
…やってらんないっ!
完全に、出鼻を挫かれた気分。
ーーピリリリ…
でも何とか、折り返し電話が来た。
『あ、俺だ』
「“俺だ”じゃないですよ!!何してたんですかっ!!」
『何って、コンビニ』
「どこの」
『駅前?』
「今すぐ私のマンションに来て下さい!わかりました?今すぐですからねっ!!」
ーーブチッ
もう課長のマンションまで、行く元気がない。
自宅に戻り、駐車場で待機してると、見慣れたBMWが登場。
車から降りて来た課長に駆け寄り、自分でも不思議な位、抱き着いた。
「どうしたんだよ」
「わかりません。わからないけど、本当にわからないんですけど、課長に会いたくて……」
好きだって、思う。
この場所を、自分のモノにしたいと思う。
「俺も。だから来たんだ」
やっぱり今日の彼は優しい。
これから先、こんな日は来ないかもと思うほど。
悠呀がどんな気持ちで、“仲良く”と言ったかはわからない。
けど私は、恋人として、仲良くありたい。
それでも良いよね、悠呀……。