♥恋と事件簿♥
「斗真?あんたいい加減にしなさいよ」



それにしても、斗真はいつ黙るんだろうか。

斗志樹を肘でつついたり、どこまでアホなのか。



「めでたい日にキレんなよ」



「これからガサ会議を始めます。留守組も話を聞いて、応援の際、手こずらないようによろしく」



椅子に座り直し、私は必需品の3色ペンを手に取り、配られた資料に補足などを書き込む。

斗真も会議が始まれば凄く大人しい。

当たり前な事だけど、黙って集中してくれて安心。

順調に進む。



「ちょっと待った」



「はい?」



しかし、途中で私の隣に七星のキャスター付き椅子を持って来て座ってた斗志樹が口を割った。

今までになかった事で、みんなの視線が一斉に斗志樹へと向かう。



「陣頭指揮が主任になってるが、この件は山下が責任者じゃないのか」



「そうですけど、俺なんかまだまだで」



「だからダメなんだ」



「…………」



「ダメと決める前にやれ。陣頭指揮は山下だ。無理な時は俺が代わる。良いな」



斗志樹の意見に、誰も反対はしなかった。

競争が激しい刑事の世界で、早く成長するに越した事はない。

だけど七星に対して、“早く一人前になれ”と私より焦ってる気がする。

会議が終わり、私は課長室に戻る斗志樹について行き、真意を訊いた。



「お前がやり易い職場作りに貢献しようとしただけだ」



でも、何故か答えに納得が出来なかった。

疑うわけではないけど、果たして本当にそうなのか疑問。



「わかりました」



しかし、時間の事も考えて頷き、納得したフリをして私は課長室を出て、出掛ける準備。

銃やわっぱ(手錠)を確認し、体制を整える。
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