♥恋と事件簿♥
男を署へと連行し、私と斗真の任務は終了。

接待用のソファーに座り、煙草を吸いながらみんなを待つ。

報告書を記入し、雑談をしてると火災の入電。



「斗真、行くよ」



「あいよー」



続く放火は、いつ終着するだろうか。

私は直接関係してないけど、やっぱり人の命も奪い兼ねない犯罪は嫌い。



「今日も課長は泊まりか?」



「別に今関係ないでしょ」



冷静さを保つのに、必死になった。

不意を突かれるなんて。

よりによって、斗真に。

髪の毛を弄るフリをして、赤くなる頬を隠す。

…てか、泊まるとか話してないしっ!!



「ふー……っ」



現場に到着した為、深呼吸をして車を降りた。

燃え盛る家に、誰も近付けない様子。



「こちら難波、報告します。現在、消火活動は難航中。3軒隣まで住民は全て避難済みですが、隣に隣接するアパートに燃え広がりを確認。車への引火も確認しました。しばらく待機します」



斗真が報告を入れる中、私はギリギリまで近付いた。

目を閉じ、耳を澄ませる。

…童謡……?

何で、燃えてる建物から聴こえるの……っ!



「――人だッ!!」



「姉貴、止(よ)せっ!!;;」



「難波主任!今は危険です!!」



火の中へ飛び込もうとした私を、斗真と消防署の署長さんが止めて来た。
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