♥恋と事件簿♥
「私は、小宮帝司-コミヤテイジ-の娘として恥じないよう、幼少の頃より――…」



…面倒くさー。

こういうお嬢様ぶった中流階級の勘違い話って嫌いなんだよね。

小宮帝司って、黒田先生より下じゃん。

それに私も、斗志樹が知らないだけで知り合いなんだけど。



「うん。そうかも知れない。だとしても、君より俺たちの方が関係は深いかも知れない」



「「……え?」」



話の頃合いを見て、斗真が口を開いた。

驚いてる彼女……、小宮さんと斗志樹。

さっきからずーっと私の頬を撫でてた斗志樹は手を止めて、斗真を見る。



「黒田さんは叔父さんの知り合いで、俺の結婚式に出てくれたし、小さい頃はお年玉もくれた。初戦、君の親父さんと黒田さんは仕事上の付き合いだけだろ?俺たち、プライベートで親交があるんだ。ごめんな」



「それも嘘では!?」



「……証拠、出しても良いけど?」



斗真は聞き耳を持たない小宮さんに、呆れながら携帯から写真を探し出す。

画面に映し出されたのは、きっと結婚式での集合写真。



「……あの親父;;」



斗志樹も半信半疑だったのか、写真を見て苦笑いを浮かべた。

でも、私の肩に腕を回して、グッと引き寄せた。



「どうやら、離れられないようだな」



「離しませんけど」



私が斗志樹だからまた恋したと、まだわかってなかったの?
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