♥恋と事件簿♥
私たちが聞いてると知らないから仕方ないけど、聞いてないとこんなハッキリとズバスバ言うんだね;;

一方的に喋って切られた電話。

斗真は「お聞きの通り」と言ってるが、私と斗志樹は唖然。

小宮さんも小宮さんで固まってる。



「あんた、いつもあんな電話なの?;;」



「あぁ。姉貴は違うのか」



「私は時間を見計らってるので;;」



「時間なぁ。……で、それは置いといて。どうする?まだ信じずに、兄貴を狙う?」



「……無理ですわ」



「でしょうね」



落胆した様子の小宮さんを見て、慌てて席を立った臼杵がドアを開けた。

涙も出ない位にショックなのだろう。

フラフラと、覚束ない足元。



「同情すんな。惨めにさせるだけだ」



当事者である筈の斗志樹が、私の頭を掴んで自分の方へと向かせた。

他人事のように言う斗志樹に呆れながらも、頭を撫でられると顔が綻ぶ。



「あのー……;;私が気まずいので辞めて貰えますか?;;」



「慣れましょうよ、臼杵さん!」



「慣れるかはわからないけど、お昼買って来てくれる?;;」



「俺、ですか;;」



臼杵は斗真より刑事としてのキャリアは短いが、年上という点で逆らえない斗真に千円を渡した。

お盆休みでお店がしまってるところが多い。

今日はコーヒーショップのサンドイッチってところかな。



「じゃあ、これでよろしく」



「……わかりました!!」



嫌々ながら立ち上がった斗真に、斗志樹の分と合わせて2千円を渡す。

嫌がらせで、チーズ入りのものにしない事を願いながら。

まぁ、男だけあってそんな小さい嫌がらせはしないだろうけど。



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