♥恋と事件簿♥
「木ノ島警察の者です。異臭がしたと通報がありましたが、大丈夫ですか?体調不良などの症状があってはいけませんので、出て来て貰えませんかー?」



「…………」



「ソワソワしてる……」



私の問い掛けに返事はないが、反応はしてるようだ。

包丁を斗真の目から確認は出来てないようだが、立て籠もりには間違いなさそう。



「出て来て貰えませんか?お身体は大丈夫でしょうか?」



「…………」



『止めて……?!;;』



ポスト口に指を挟み、隙間を開けてたお陰か、微かに女性の声がした。



『うるせぇ……。喋るな。大人しくしとかないと、殺すからな』



『戻れば良いんでしょ……?;;貴方の所に帰れば……!私、謝るから止めましょう?;;』



『だから黙れ……!!』



「「…………」」



恋人か夫婦か、2人の関係は定かではない。

しかし知り合いのようで、上手く行けば突入をする必要はない。

ただ、男は女性を刺す度胸があるようだ。

私は無線で下に残る部下に、この家の住人や身辺を探るように指示。



「本当に大丈夫ですか?救急車お呼びします――っ?!!」



「姉貴――ッ!!」



一瞬。

ほんの一瞬の隙だった。

開かれたドアの隙間から伸びて来た腕に捕まり、中へと入れられた。



『何があった!!』



『主任が部屋――…』



「これは貰う。そして大人しく出れば、刺さない」



一生の、不覚。
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