♥恋と事件簿♥
ラスト一切れを頬張りながら、全く気にしてない私に、斗志樹が眉間にグッとシワを寄せながら見て来た。



「何に怒ってる?」



「俺、それ知らねぇ」



「何で;;」



悠呀はわりと話してる方なのに?

知らないだけで怒ってるの?;;



「すぐ妬くんだから」



ニヤけそうで、呆れたフリをしながら引き出しを開けた。

一番下の大きな引き出しの奥にしまわれたクリアファイルを取り出し、斗志樹に渡すと「何で悠呀が!」と驚いてる。



「本当は、俺が親父の3代目・カッコ良過ぎる刑事で、七星が親父さんの3代目・イケメン刑事になる予定だったのが、思いの外早くその記事の話が来てしまって、白羽の矢が悠呀君に立ったんですよ。確か2ヶ月だけ警らに応援で来てたんで」



「あの野郎。恥ずかしくて隠したんだな」



「え?何の怒りなの?;;」



「あいつはお前のピン写真しか見せた事しかねぇんだよ」



「撮る役だからでしょ?」



遠出なんかほとんどしなくて、いつも私の写真を撮りたがってた悠呀とのツーショットは、旅行に行った時の分しかほとんどない。

見せたくても見せる写真がなかった。



「いや、違うな」



「何、斗真まで;;」



「悠呀君は兄貴の前ではわりとクールだった筈。こんな頬を寄せ合う写真なんか見せられない」



…悠呀がクール?;;
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