♥恋と事件簿♥
第二部 ⑤~求婚〜
「急ですまないが、黒田君も愛依もよろしく頼んだよ」
「はい」
「了解しました」
クールビズも終え、スーツへと戻った初秋。
気付けば秋が目の前に迫った9月最終日、出勤して間もなく坂田署長に呼ばれた。
今日から1週間、本庁より監査が入るようだ。
誰が来るとは言わなかったが、どうやら私を見に来るようだ。
まだ他からすれば若手の私が、代理でも課長として務まるかどうか。
主任という立場も、他からクレームでも出てるのかも知れない。
署長に頭を下げて、斗志樹と課へと向かう。
「おはよう」
「おはようございます。難波主任」
「……本庁の方ですか」
斗志樹と課長室の前で別れてフロアーに入ると、斗真の横の空きデスクに腰掛けてた人が立ち上がった。
私の問い掛けに頷きながら、正面のもう1人を立たせた。
「本庁の捜査一課から参りました、田辺-タナベ-といいます」
「同じく木村-キムラ-です。よろしくお願いします」
歳は私と同じ位か、偉ぶれた様子もなく頭を下げた2人。
しかし、監査役には変わりない。
「おい。朝礼」
「今から始めます」
斗志樹が課長室から出て来た為、頭を下げてデスクへと行く。
鞄を置き、朝礼を行う。
今日の予定などを確認し合い、業務に就く。