♥恋と事件簿♥
署に戻り、私は斗真に留守してた間の情報を確認した。
「放火が一件。先月の放火と、同一犯の可能性が高いと思います」
「了解。警らに警戒の呼び掛けよろしく」
「わかった」
斗真を見送り、私は部下ではあるけど、年上の磯村ーイソムラーさんを呼んだ。
「この組、調べて」
「【阿笠組】?これは随分も前に潰れただろ」
「そうみたいなんだけど、傷害事件を起こしたヤツらが数人が、阿笠の人間だと答えるの」
「妙だな……。探ってみよう」
「お願い」
磯村さんは、仕事の仲間として凄く信頼してる。
本庁の内業務もしてたせいか、メカにも強いし。
ーープルルル……
パソコンを開き、自分の仕事に取り掛かろうとした時、電話が鳴った。
「はい、きの――…」
ワンコールで出ると、鼻息の荒い声。
喘ぎ声も聞こえ、嫌がらせだとわかる。
眉間にシワを寄せ、怒りを沈める努力。
『はぁ……はぁ……っ気持ち良くなろうよ……』
…シバいたろうか、この男。
逆探知のスイッチを入れ、スピーカーフォンにした。
誰かがキレてくれるのを待とう。
「……警察にイタズラとは、ナメた事してくれんじゃねぇか」
『あ、ああうわぁっ!!;;』
でも、キレたのは意外にも課長。
相手の男は慌てたように、電話を切った。