間違いだらけの殺人
はじまり
 その日の私は、
朝からどこかイラついていた。

夫はいつもと全く変わらないリズムで
朝食を食べ、

新聞に目を通し、
コーヒーを飲みほすと

「じゃあ、行くか」と席を立ち、
玄関に向かいながらジャケットをはおり、
こちらを振り返り

「行ってきます!」
と少し笑った。


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