好きになってごめん
あたしがそう尋ねると、アイツは苦虫を噛み潰したような顔をして、「あ〜……」と言いにくそうに口を開いた。


「話せば長くなるんだけどさ……」


そう言って、今までのことを話してくれた。


まず、好きになったのは、アイツじゃなくてあの子の方。


告白されて断ったけど、あとから利用できると思ったらしい。


それについては彼女には悪いと思ったけど、事情を説明したら「好きな人の頼みだし」と了承してくれたらしく。


それで、アイツはしばらく片想いをしている風に振る舞い、今年の春に付き合った“ふり”をしていたらしい。


初めはよかったものの、段々彼女は“好きになってもらえないのに、こんなの続けられない!”となり、それで恋人ごっこをやめた。


それを“別れた”と言って、二人は元のクラスメートの関係に戻った。










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