好きになってごめん
しばらく走ったところであたしは止まる。


「はぁ……はぁ……」


近くにあったベンチに座り、ゆっくり呼吸を整える。


………悪いことしちゃったかな?


入学式の日に意気投合して仲良くなったあたしたち。


もちろん、喧嘩なんかしたことないし、あんな風に言ったこともなかった。


………でも。
あの言葉がどうしても嫌で。


とにかくあの場にいたくなかった。


「………」


ただ黙って、外の風を感じる。


少し冷静になって、教室に戻ろうとしたときだった。


………え?


あたしは見ちゃったんだ。


アイツと、知らない女の子が仲良さそうに話しているのを。


「………なんで?」


思わず呟いてしまった言葉。


それくらいびっくりしてしまった。


アイツが、女の子と仲良く話している姿なんて見たことなかったから。










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