龍とわたしと裏庭で⑤【バレンタイン編】
もういくつ寝ると
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「気をつけて行っておいで。夏実ちゃん達によろしく」
圭吾さんが穏やかに言う。
夜明け頃にわたしを起こして、親元に帰すのが嫌だと、散々ごねた人と同一人物とは思えないわよ。
六歳年上の圭吾さんは、母方の従兄だ。
親父の海外勤務でこの家に来たわたしは、圭吾さんと出会い、ただ今婚約中。
でも、年末に親父が一次帰国して、わたしは実家でお正月を過ごす事になったのだ。
「いってきます。電話するね」
圭吾さんに抱きついてわたしがそう言うと、
「本当は行かせたくないけど」
低い声が耳元で囁いた。
困った人
圭吾さんは優しい恋人だけど、時々ズルをする。
今朝だって一週間分のキスをくれと、わたしが半分寝ぼけているのをいいことに、好きなだけわたしに触れて心の中まで読み取った。
今思い出しても顔から火が出そう。
「年越しと元日は忙しいのよね?」
わたしがきくと、圭吾さんは顔をしかめた。
「神社の方で仕事があるから。帰って来ても年始挨拶の客が切れ間なく来るしね」
ここ羽竜家は、この辺り一番の旧家で、圭吾さんは本家の当主だ。
圭吾さんが穏やかに言う。
夜明け頃にわたしを起こして、親元に帰すのが嫌だと、散々ごねた人と同一人物とは思えないわよ。
六歳年上の圭吾さんは、母方の従兄だ。
親父の海外勤務でこの家に来たわたしは、圭吾さんと出会い、ただ今婚約中。
でも、年末に親父が一次帰国して、わたしは実家でお正月を過ごす事になったのだ。
「いってきます。電話するね」
圭吾さんに抱きついてわたしがそう言うと、
「本当は行かせたくないけど」
低い声が耳元で囁いた。
困った人
圭吾さんは優しい恋人だけど、時々ズルをする。
今朝だって一週間分のキスをくれと、わたしが半分寝ぼけているのをいいことに、好きなだけわたしに触れて心の中まで読み取った。
今思い出しても顔から火が出そう。
「年越しと元日は忙しいのよね?」
わたしがきくと、圭吾さんは顔をしかめた。
「神社の方で仕事があるから。帰って来ても年始挨拶の客が切れ間なく来るしね」
ここ羽竜家は、この辺り一番の旧家で、圭吾さんは本家の当主だ。
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