龍とわたしと裏庭で⑤【バレンタイン編】
「とにかく、グズグズ未練たらしく付き合うのやめるわ」
バスを降りてから、松本さんが言った。
「長谷川が本気でも?」
と、悟くん。
「やだなぁ、本気の訳ないじゃない。あんなチャラチャラした人よ。本気だって言っても、きっと軽い気持ちで言ってる」
「それならどうして付き合ってたの?」
わたしは不思議に思って聞いた。
「チャラチャラしてるのは見た目だけだと思ったの。本当は真面目で優しい人だって――」
松本さんはため息混じりに言った。
「努力家なのよ。じゃなきゃ、あんなに勉強できないもの。付き合い始めたきっかけも勉強だった。情けないけど、わたし年下の彼に勉強を教えてもらっていたの。ただ、女の子関係がルーズすぎて、わたしには付いていけない」
「ねえ、明日まで引き延ばすことないよ」
悟くんが言った。
「今、はっきりさせちゃえば?」
悟くんが顎で指し示した方を見た。
校門の前に長谷川くんがいる。
いつものチャラい雰囲気は露ほどもなく、険しい表情で腕を組んで校門にもたれ掛かっている。
「どうやら一筋縄ではいかないみたいだけどね」
バスを降りてから、松本さんが言った。
「長谷川が本気でも?」
と、悟くん。
「やだなぁ、本気の訳ないじゃない。あんなチャラチャラした人よ。本気だって言っても、きっと軽い気持ちで言ってる」
「それならどうして付き合ってたの?」
わたしは不思議に思って聞いた。
「チャラチャラしてるのは見た目だけだと思ったの。本当は真面目で優しい人だって――」
松本さんはため息混じりに言った。
「努力家なのよ。じゃなきゃ、あんなに勉強できないもの。付き合い始めたきっかけも勉強だった。情けないけど、わたし年下の彼に勉強を教えてもらっていたの。ただ、女の子関係がルーズすぎて、わたしには付いていけない」
「ねえ、明日まで引き延ばすことないよ」
悟くんが言った。
「今、はっきりさせちゃえば?」
悟くんが顎で指し示した方を見た。
校門の前に長谷川くんがいる。
いつものチャラい雰囲気は露ほどもなく、険しい表情で腕を組んで校門にもたれ掛かっている。
「どうやら一筋縄ではいかないみたいだけどね」