龍とわたしと裏庭で⑤【バレンタイン編】
「そうして。美少女は何も言わなくても美少女だから」

悟くんが言う。

「それと、しづ姫、冗談でもそういうコト言うのやめて。圭吾の耳に入ったら大事(おおごと)になる」


「大袈裟ね」


「僕は真面目に言ってるんだよ」

悟くんが顔をしかめる。


「分かった、分かった。危ない冗談は言わない。圭吾さんと仲良くして、二十歳になったらお嫁さんになる――これでわたしのコト、そっとしておいてくれる?」


「どうして二十歳なんですか?」

美月が尋ねた。


「うちの親父の方針だから」


「えーっ! でも……」


「美月ちゃん、もう何も言わないんじゃなかったの?」

悟くんがうんざりしたように言った。




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